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心理学部
2014.12.13

人文学部心理学科リレーエッセイ NO.04

宗教と心理学

12月に入り、世の中はクリスマスムードいっぱいです。つい先日、フィンランド・サンタクロース財団公認のサンタクロースも、飛行機に乗って来日しました。

私たちはクリスマスイベントやサンタクロースに何を求めているのでしょうか。ただイベントを楽しんでいるだけでしょうか。

一般的に日本人は信仰心が足らないとよく言われます。生まれたときにはお宮参りをして、年末にはクリスマスを祝い、初詣は神社に行き、教会で結婚式を挙げ、亡くなるとお葬式は仏式で行われることが多く、この一貫性のなさが他の文化からは不思議に思えるようです。

一見すると節操がないようですが、見方を変えれば、柔軟に神仏の区別なく、すべての超自然的存在を大事にしているとも思える…というのは言い過ぎでしょうか。

私は以前、祭祀の研究のために南の島に通っていました。そこでは年に1回秘儀とされるお祭が行われるのですが、それを見るために、普段は定期船も運行してないような小さな島に日本全国から若者たちが続々と集まってくる様子を見てずいぶん驚きました。お祭に登場する、その島の神様に向けられる若者たちの視線は熱く、真剣そのものでした。

その様子を思い出すと、今の若者たちがいろんな宗教イベントに積極的に参加するのは、ただただ経済的策略に乗せられているだけではないような気もしてきます。
クリスマスイメージ

○○教という確固たる宗教をもたないからこそ、イベントを通じて、かすかにではありますがいろんな宗教と触れ合い、自分のこころの拠り所となるようなものを探しているのではないかとも思えるのです。

世の中のクリスマスムードを後目に、大学では、卒業論文の締切に追われた4年生が走り回っています。パソコン室では、固い表情の先生方もうろうろ。卒論シーズンが辛いのは学生たちだけではありません。ああ、来年度の4年生は卒論を早めに進めてくれますように…来年はクリスマスを楽しめますように…と神様仏様にお祈りしたい気分です。

三宅理子(臨床心理学)