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2021.05.24

地産地消レシピで健康づくり。愛知県歯科医師会で金賞を受賞したレシピとは!?

健康栄養学部では、学生が大学で学んだことを生かし、さまざまなコンテストへ積極的にチャレンジしています。愛知県歯科医師会が主催する「もっと噛んで歯ッピーレシピコンテスト」もその一つ。中学生以下が参加する「キッズレシピ部門」、愛知県の食材をメインにした「地産地消“地元を食べよう”部門」、ご年配の方々も美味しく頂けるレシピ「高齢者向け部門」の3部門あり、それぞれ、金賞、銀賞、特別賞が設定されています。第10回となる2020年度は、「地産地消“地元を食べよう”部門」で健康栄養学部3年生の神野志歩さんが、金賞を受賞しました。

健康づくりにおける「噛むことの大切さ」と「地産地消」の両方を実現したレシピの開発について、指導教員である古橋啓子先生(健康栄養学部 准教授)と小池亜紀子先生(健康栄養学部 准教授)も交えてお話を伺いました。

授業で学んだことを生かしてレシピを考案。

編集部:金賞受賞おめでとうございます。応募総数788作品の中からの金賞は、快挙ですね!

神野さん:ありがとうございます!

編集部:受賞の感想は?

神野さん:正直びっくりしています。家族も「え?」って驚いていました(笑)

編集部:コンテストに応募したきっかけは?

神野さん:実は、コンテストへの応募は、「給食マネジメント実習」という科目の課題なんです。毎年2年生は、もっと噛んで歯ッピーレシピコンテストに応募しているんです。

古橋先生:コンテストの応募期間が、毎年5月から7月31日までなので、授業もちょうど中盤になり、学んだことを実践で生かす良いタイミングでもあるんですね。

小池先生:なので、「給食マネジメント実習」を受講している学生は必ず応募するようにしています。2年生は比較的自由度の高い「地産地消“地元を食べよう”部門」、3年生は飲み込みやすさや味付けなど多少制限が多い「高齢者向け部門」というように、経験値に合わせて参加する部門を分けています。大学での勉強も大切ですが、それ以外で得意なことを見つけられるチャンスになればと。これ以外にもいろいろなコンテストに応募するように勧めています。半強制的ですが(笑)

編集部:レシピはどのように考えたんですか?

神野さん:まず何を作ろうかな?と考える前に、愛知県の名産はなんだろう?というところから検証しました。キャベツなども候補にあがったのですが、テーマのひとつが「歯ごたえ」だったので、噛みごたえのあるレンコンに決めました。また、母に相談したら愛知県は三河豚も有名だとアドバイスをもらったので、「それじゃあレンコンに巻いてみようか」と何気なく思いついたんです。それで作ってみたら美味しかったので、この材料で挑戦しようと決めました。

編集部:課題ということで始まりは受け身の姿勢だったと思うのですが、どのあたりから前向きに楽しいなと思い始めたのですか?

神野さん:正直なところ、最初は「課題を提出しなきゃ」という使命感からスタートしましたが(笑)、調理をしてみると楽しくなってきて。あと、試食してくれた家族が「美味しい」と喜んでくれたのもうれしくて。それならもっと美味しくなるように、もっと工夫しよう。と思えるようになりました。

編集部:レシピを考えるうえで大切にしていたことは?

神野さん:材料はシンプルで、調理は簡単であること。歯ごたえがあり、食べ応えがあること。これだけをイメージして考えました。なので、分量や調味料の組み合わせなどの調整はしましたが、材料やレシピについては、試行錯誤しませんでした。ブレなかったですね。

カロリーだけでなく費用も算出。

編集部:先生はどのようにアドバイスをされたのですか?

小池先生:まずは、レシピを書いたシートのチェックからですね。記入漏れはないか基本的なことを確認してから、実際にこの手順でちゃんと調理できるのか、この分量に対してこの調味料で大丈夫か、この金額で作れるのかなど、細かく確認していきました。

編集部:カロリーだけじゃなく、かかる費用も算出するんですね。

神野さん:購入した金額をもとに算出します。例えばレンコンの場合は、購入した半分の量を使用したので、半額をシートに記入しました。

小池先生:一番難しいのは、調味料ですよね。10g使うか使わないかなので。

神野さん:金額の算出は「給食マネジメント実習」で学んでいたので、今回、実践できて良かったです。

古橋先生:「給食マネジメント実習」では、給食での大量調理がテーマなので、予算や栄養価が決められているなかで献立を工夫することを学びます。今年はコロナ禍による遠隔授業が続いたので、例年とは異なり対面で指導する機会が少なかったのですが、学生はがんばってくれたと思います。

小池先生:コンテストでは特に予算や栄養価に制限はありませんでしたが、高価な内容になってしまうのは良くないと思い、その点は気をつけて指導するようにしていました。

編集部:遠隔授業ということもあり、実際に作ったものを食べることもできない中で、指導は難しくありませんでしたか?

小池先生:そこはもう信頼関係ですね。学生は課題をきちんと丁寧にやってくれますし。うちの学生はみんな真面目ですからね。あと、出されたレシピを見れば、適当にやっているかどうか、ひと目でわかります。「この料理写真はどこかのホームページに載っていたものだな」とか、「実際に自分で作っていないな」とか、お見通しですよ(笑)

編集部:将来、管理栄養士をめざす学生には、貴重な経験になりましたね。

小池先生:学生には、自分の得意なレシピをたくさん持っていてほしいですね。多くの引き出しの中から組み合わせていくことで、より良い献立が生まれてくると思うので。

金賞を受賞できた秘訣とは?

編集部:メインの食材がレンコンだった第一印象は?

古橋先生:実は、レンコンを使ったレシピは、全体の3分の1くらいあったんですよ。噛みごたえのある食材なので、やはり大人気でしたね。挟んで揚げたり焼いたり、細かく刻んでつくねやハンバーグにしたり。こういったレシピが多い中、神野さんの「レンコンに肉を巻いて焼く」というレシピはとても良いアイデアだと思いました。

神野さん:料理はそんなに得意ではなかったので、手軽に作れることを意識しただけなんです。「難しいことはせず巻いてしまえ!」ぐらいの勢いで(笑)

編集部:金賞受賞を知ったときの感想は?

小池先生:今年も獲ってくれた!ありがとう!ですね。東海学園大学は、部門の金賞、銀賞、特別賞を総なめにした年もあったほど毎年優秀な成績をおさめているので、よかった!という気持ちとほっと安心した部分と、半分半分なのが、正直な感想でした。

編集部:審査コメントには「愛知県産のれんこんを三河豚で巻いて蒸した料理法が良いですね。れんこんの硬さと淡泊な味が豚肉のジューシーさによって食べやすい味になるよう工夫されています」と書かれていますが、先生はどのようなところが評価されたと思いますか?

小池先生:まず作りやすいこと。調味料が「塩」「こしょう」「ポン酢」だけなので手軽に作れるんですね。

神野さん:豚肉から出る油でレンコンが柔らかくなるだけでなく、旨味もしみるので、調味料はシンプルでも大丈夫でした。

古橋先生:香りの良い大葉と、隠し味のたかの爪も、絶妙なアクセントになっているんですよね。こうしたちょっとした工夫で、全体の味のバランスが良くなり、ぐっと美味しくなるんです。

神野さん:最初は肉を巻いただけだったんですが、なにか一味足りないなと思い、自分も好きな大葉も一緒に巻いてみたら味に広がりが出て、美味しくなりました。それと、豚肉の疲労回復効果も意識しました。調理法で工夫したのは、蒸し焼きにしたところです。下茹でせず、柔らかくすることを考えたら蒸し焼きだなと。最後に強火でしっかり焼くことで、香ばしくカリッとした食感に仕上げました。

古橋先生:下茹でをしない。このひと手間がないだけで、調理のハードルはぐんと下がると思います。

小池先生:豚肉を一枚まるっと巻いているので、ボリュームがあって、食べごたえがあるのも良いですよね。男性や若い人たちを含め、幅広い年代の方に満足していただけると思います。大葉は若い女性に好まれる食材ですしね。

編集部:こうしていろいろな角度から検証すればするほど、このレシピがいかに優れているのかがわかりますね!

神野さん:今回のコンテストで金賞という評価をいただき、少し自信がつきました。また、自分でレシピを考えることはこんなに楽しいんだ、「美味しい」と喜んでもらえることはこんなにうれしいんだ、という新鮮な発見もありました。

「食」と「健康」の重要な関係性を知る。

編集部:神野さんが管理栄養士をめざしたきっかけは何だったのですか?

神野さん:高校時代、陸上部で長距離を走っていました。そのとき、管理栄養士の方が食事面のアドバイスをしてくださったことがきっかけです。私は貧血気味だったのですが、管理栄養士の方から鉄分を取る食事を教えていただき、実際にレバーなどを多く食べるようになってから、貧血が改善されて陸上の記録も伸びたんです。体作りには「食」が重要なんだなと実感しました。これをきっかけに、管理栄養士になりたいと思うようになりました。

編集部:先生が、指導するうえで心がけていることとは?

小池先生:管理栄養士は、常に相手を思いやる仕事です。レシピ一つにしても、これを作る人のことや食べる人のことを考えなくてはいけません。専門的な知識や技術を身につけることはもちろんですが、それをわかりやすく伝えるスキルも学んでほしいと思いますね。

古橋先生:「給食マネジメント実習」の授業でも、まず「対象者は誰?」というところから始まります。給食といっても、学校なのか、病院なのか、事業所なのかで内容は異なります。対象となる人たちの生活や年齢、環境などを考慮して献立を作れるのか。彩りや栄養バランス、見た目なども気をつけて献立をチェックしていますね。

神野さん:わからないことはたくさんありますが、先生方はどんな質問もわかるまで丁寧に教えてくださいます。あと、アドバイスが適切で、本当にすごいです。例えば、献立のカロリー計算が合わなくて相談したときも、「この食材を入れてみたら」というシンプルなアドバイスでぴったり計算が合ったときは感動しました。豊富な経験からくるものだと思うのですが、もう尊敬しかないです!

古橋先生:私は、管理栄養士として病院で勤務後、健康増進施設でも働いていた経験を生かせたらと思いながら指導しています。現場での経験談を話したり、ノウハウを伝えたり、実践に生かせる学びを心がけています。

小池先生:私は、保健センターで管理栄養士として、妊婦さんから乳児、お年寄りまで、幅広い年齢の方の栄養相談や指導を行っていました。さまざまな年代の方を対象としていたので、一人ひとりの状況に合わせたアドバイスを心がけていました。私もこの経験を学生に伝えられたらと思っています。

神野さん:4月から3年生になり、実習も始まります。その前に、先生からいろいろな話を聞いて、少しでもイメージができるよう、しっかり準備して臨みたいと思っています。

編集部:がんばってください!ありがとうございました。

編集部まとめ

コロナ禍の影響により、家庭で食事を作る機会が増えている今、健康づくりに役立つ食事の提案や情報を発信する管理栄養士への注目度はさらに高まっています。神野さんは、今回、コンテストに参加したことにより、管理栄養士になるために必要な知識や経験だけでなく、自覚と自信も身についたのだと感じました。これからも、大学で学んだことを生かし、さまざまなことにチャレンジしてほしいと思います。 神野さん、古橋先生、小池先生、ありがとうございました!