教育

OPEN UP

2022.01.26

保育者としての未来を照らす、地域との交流イベント

東海学園大学教育学部教育学科保育専攻では、2017 年から授業の一環として、近隣にお住まいの親子(3歳児以上の幼児とその保護者) 100 組と交流するイベント「おやこエンジョイフェスティバルとうがく」を開催しています。例年は名古屋キャンパスの体育館で実施していますが、2021年は新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、オンラインによる開催を決定。学生たちは、親子で一緒に楽しめる動画を制作し、9月12日(日)に配信しました。今回は、参加した学生の中から、加藤聖渚さん、三輪果音さん、石田裕菜さん、田中翔琉さん、髙樋菜央さん、福山遥菜さんの6人と、学生たちをサポートする河野順子先生と小島雅生先生へのインタビューを実施。活動を通して得られたこと、学んだことなどについて語っていただきました。

地域からも好評な「親子参加型イベント」

編集部:みなさん、本日はよろしくお願いします。はじめに、「おやこエンジョイフェスティバルとうがく」の活動目的についてお聞かせください。

河野先生:教育学科の科目の一つである「基礎演習Ⅲ」では、造形・音楽・運動・パネルシアターといった実践的な力を身につけています。「おやこエンジョイフェスティバルとうがく」は、この演習で培ったスキルを地域に発表するとともに、学生と親子が一体となって楽しい時間を共有することを第一の目的としています。また、子どもたちと直接かかわることで、学生が自分自身の子ども理解や接し方を振り返ったり、改めて学んだりすることも大切な目的です。さらに、保護者の方とかかわることによって、挨拶やことば遣い、気配りなど、社会人として基本的なマナーを身につけ、社会的スキルの向上をめざします。

おやこエンジョイフェスティバルとうがく(2018年実施)

編集部:このイベントを開催することになった経緯は?

河野先生:学生たちが授業で学んだことを地域に発信する機会をつくりたいと思ったことが、きっかけでした。

小島先生:イベントは1年目から好評で、2年目からは毎年、参加限定数の100組を上回るご応募をいただいています。※画像:おやこエンジョイフェスティバルとうがく(2018年実施) 

編集部:どのように活動されているのですか?

小島先生:「造形あそび」「音楽あそび」「パネルシアター」の3ジャンルにおいて、学生たちはそれぞれ3〜4のグループに分かれて動画制作に取り組んでいます。今年はオンライン開催ということもあり、 “おうちで遊べる”をコンセプトにテーマを決めていきました。活動については、学生たちが主体的に企画し、準備し、実践しています。私たち教員は、指導というよりサポートですね。

テーマの決定から企画、制作まで、
学生が主体となって実践

編集部:それでは、活動内容について詳しく教えてください。まずは、「造形あそび」を担当した髙樋菜央さんと福山遥菜さんのお二人から。

髙樋さん:「造形あそび」は、16人の学生が4つのグループに分かれて動画を制作しました。テーマは、「しぜん と あそぼ」「かたち なに なに」「しんぶんし で へんしん」「つくって あそんで だいぼうけん」の4つ。どれも身近な素材を使った遊びを紹介する内容です。私のグループは、「しんぶんし で へんしん」というテーマで、新聞紙を切ったり、貼ったり、破いたり、さまざまな遊び方の動画をつくりました。

編集部:制作する上で大切にしたことは?

髙樋さん:小島先生が教えてくださった新聞紙を使った造形の本や資料などを参考にしながら、「この企画は子どもたちが楽しめるかな?」とか、「発達に応じた内容になるかな?」といったことを心がけながら制作しました。

編集部:福山さんのグループは?

福山さん:私たちのテーマは、「しぜん と あそぼ」です。公園にでかけ、小さい子どもが興味を持つような木の実や石、木の葉、枝などを拾う様子から撮影し、それらを使った遊びを紹介する動画を制作しました。

編集部:具体的にはどんなものを作ったのですか?

福山さん:石をペイントしたり、石を積み木のように積んだり並べて動物のカタチを作ったり、木の実や枝を使ってハリネズミの置物を作ったりしました。また、自然素材を並べながらコマ撮りで撮影して編集し、ストップモーションアニメのような動画も制作しました。

編集部:先生はどのようなアドバイスを?

小島先生:基本的には学生の意見を尊重していましたが、自然の中には楽しいものづくりに繋がるヒントがたくさんあることを子どもたちに伝えられるといいね、というアドバイスはしました。

編集部:次は「パネルシアター」を担当した加藤聖渚さん、三輪果音さん。制作した動画について教えてください。

三輪さん:「パネルシアター」は、特殊な布で作ったボードに絵や文字を貼ってお話や歌を繰り広げる保育教材です。私たちの題材は、『アイアイ』『すうじの歌』『どんぐりころころ』『はらぺこきょうりゅうペコペコくん』の手遊び歌。曲選びやキャラクターづくり、ダンスの振付、物語の展開など、すべて自分たちで考えて制作しました。

編集部:加藤さんのグループは?

加藤さん:『クリームシチュー』『どうぞのいす』『カレーライス』を題材に、完成するまでの様子を楽しく紹介する動画を制作しました。ナレーション担当、ピアノ担当、撮影担当など、どうやったらスムーズに取り組めるのかなど、さまざまなアイデアを出し合ったことが印象に残っています。人にはそれぞれ個性や得意なことがあり、それを生かした役割を考え配置することの大切さを学びました。

編集部:次は「音楽あそび」を担当した石田裕菜さん、田中翔琉さん、お願いします。

田中さん:僕たちは、楽器づくりの動画を制作しました。実際に自分たちで作っている様子を撮影することで、わかりやすく伝えることを心がけました。

編集部:なるほど、メイキング動画っぽいですね。どんな楽器を作ったのですか?

田中さん:『牛乳パックで作るカスタネット』です。他にもペットボトルに細かく切ったストローを入れて音を鳴らす『マラカス』、紙皿を張り合わせた『でんでんだいこ』、ティッシュ箱と割り箸で作った『ギロ』など、家にあるもので手作りできる楽器も紹介しました。最後には、それらを使った演奏も披露しました。

編集部:石田さんのグループは?

石田さん:ミュージックベル演奏です。曲選びから、ミュージックベルの紹介、演奏まで、自分たちで考えて制作しました。ミュージックビデオ風にイメージ映像を作ったり、曲紹介では楽しい絵を添えたりするなど、見ても楽しめる工夫をしました。

編集部:演奏した曲のタイトルは?

石田さん:『たなばたさま』『どんぐりころころ』『シャボン玉』『むすんでひらいて』です。たくさんの人が知っていて、イメージしやすい曲にしようと、みんなで話し合って決めました。

初めての経験に試行錯誤

編集部:大変だったこと、苦労したことは?

髙樋さん:締め切りがあるので、スケジュール通りに制作することが大変でした。グループで活動するので、個人個人のペースをあわせなくてはならなかったので。

福山さん:ビデオ撮影ですね。アングルの決め方やものの配置、ナレーションなど、どれも初めてのことなので試行錯誤の連続でした。

加藤さん:全体のバランスを見ながらボードに貼っていくことが大変でした。話し方も、物語の世界観が表現できるように気をつけて、みんなで意見を出し合いながら決めていきました。

三輪さん:貼るタイミングや話すスピードですね。あと、貼る量や流れ、曲の尺なども、何度も試しながら決めていきました。

田中さん:僕はナレーションです。手の動きに合わせて話さなくてはいけなかったので、すごく難しかったです。すぐ噛んじゃったので、NGも多かった(笑)

石田さん:演奏が大変でした。楽譜を大きくしたり、目立つように色を付けたりして、ミスをしないための工夫をしました。あと、少しでもキレイな音を出すために、広さの違う部屋で演奏して比較したりして、妥協したくなかったので、さまざまなことを試しました。

活動を通して新しい自分に出会い、成長を実感

編集部:やってみてよかったこと、成長できたなと思うことは?

髙樋さん:今年はモニターを通してという形になってしまいましたが、自分のアイデアを相手にわかりやすく伝えるためにさまざまな工夫をしたことは、保育者をめざす私にとって特別な経験になりました。造形の種類もたくさん学べたので、将来に役立てたいと思います。

福山さん:本格的な機材で撮影したり、ナレーションをしたり、初めての経験ができたのが楽しかったです。人前で話すことは苦手だったのですが、おかげで少しは慣れてきました。経験って大切だなって実感しています。

加藤さん:もともと人を喜ばせたり、役に立てたりすることが好きなので、子どもたちの喜ぶ顔を想像しながら取り組めたことが楽しかったです。初めて挑戦することも多くて、ワクワクしました。

三輪さん:画面越しでも子どもたちに楽しんでもらえるかな?うまく伝えられるかな?と考えることが楽しかったです。不安はありましたが、素敵な動画になるよう、納得いくまで前向きにがんばれたことは貴重な経験になりました。

田中さん:工作が好きなので、楽器を作るのは楽しかったです。人によって得意なことは違いますが、良いモノを作ろうという同じ目標に向かって助け合えたことが印象に残っています。また、他の人の意見やアイデアを知り、自分の中の引き出しが増えました。

石田さん:自分で描いた絵を背景にシャボン玉を飛ばして撮影するなど、絵と映像を組み合わせる作業は初めてだったので、とてもおもしろかったです。子どものころの気持ちを思い出しました。これからもいろいろなことに挑戦したいです。

編集部:先生は、学生の成長をどう感じられましたか?

河野先生:お互いに協力しながら動画を完成させていくプロセスを通して、同じ目標に向かって共同で作業することの大切さを学べたのかなと感じています。それと、責任感も強くなり、やりとげた達成感は、今後の大きな自信になると思います。

小島先生:この活動に関しては、学生たちは、想像力が養われたと思います。動画を見る親子をイメージして、子どもと保護者それぞれに喜んでもらえる内容にするにはどうしたらいいのか。ちゃんと想像しながら制作に取り組めたことは、貴重な経験だったのではないでしょうか。

編集部:今後、学生に期待することは?

河野先生:イメージすることは大切です。今回の経験を生かし、相手の立場になっていろいろ考えられる人になってほしいですね。いま学生たちの話を聞いて、とても心強く感じましたし、これからも期待しています。

小島先生:みんな意欲的に楽しく、主体的に取り組んでくれたことが、大きな収穫だったと思います。子どもたちや保護者のために、自分のために学ぼう。そんな気持ちをこれからも持ち続けて学んでくれたらいいですね。私も、学生を人として尊敬することを心がけ、共に学んでいきたいと考えています。

保育者になりたいという気持ちが、さらに強く

編集部:では最後に、今後の抱負を聞かせてください。

髙樋さん:幼稚園での職業体験が楽しかった、弟の面倒を見ることが好きだった、人の役にたつ仕事がしたい。この3つが保育者をめざした理由です。大学では、信頼関係の大切さと難しさを学びました。将来は、子どもからも保護者からも信頼してもらえる保育者をめざします。

福山さん:中学生のとき職業体験で保育園に行き、子どもと過ごした時間が楽しくて保育者をめざそうと思いました。目標は、子どもと同じ目線にたち、保護者ともうまくコミュニケーションを取りながら共に子どもの成長を喜べる保育者です。

加藤さん:保育園の担任の先生に憧れて保育者をめざしました。この先生のように、子どもの一生に寄り添える、誰からも好かれる保育者になりたいです。

三輪さん:親が幼稚園教諭だったので仕事の大変さはわかっていたのですが、保育者になりたいという決意は強く、東海学園大学に入学しました。目標は、子どもの表情や周りの環境にも気配りのできる保育者です。自分で決めたことなので、必ず叶えたいと思います。

田中さん:人とかかわる仕事がしたいと思い保育者をめざしました。安全面をしっかり確保しつつ、子どもたちがちゃんと楽しめる。そんな保育のできる人が目標です。

石田さん:保育者は、子どもの成長を近くで見られる良い仕事だなと思います。私は、子どもの豊かな発想力と想像力にとても魅力を感じているので、そこをうまく伸ばしてあげられる保育者になりたいです。

編集部まとめ

今回のインタビューでは、参加した学生のみなさんは全員、保育者になるという目標に、真面目に真剣に向き合っている様子が伝わってきました。親子とかかわる楽しさを学ぶと同時に、仲間と協力しあい、責任をもって取り組み、やり遂げる達成感を知った経験は、保育者をめざす学生にとって大きな自信になったことでしょう。髙樋さん、福山さん、加藤さん、三輪さん、石田さん、田中さん、そして河野先生、小島先生、ありがとうございました!