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同窓生インタビュー

事故により右ひざ下から切断、義足となってから陸上競技をスタート。初めてのアジアパラ大会で優勝するなど、パラアスリートとして注目を集める井谷俊介さんにお話を伺いました。

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自らのアジア記録を更新 東京パラリンピック出場を目指して 経営学部 経営学科 20期生(2018年卒)SMBC日興証券株式会社 人事部 アスリート 井谷 俊介さん

取材日:2019年5月9日

チャレンジする姿を見せたい

2016年2月、アルバイトからバイクで帰る途中に事故に遭い、一時は意識不明の重体。命の危険もあるなか4日間の昏睡の後、目を覚ましました。開放粉砕骨折と診断された右足首は、見た目こそ戻りはしたものの感覚がなく動かず、事故から10日後に右ひざ下から切断。2日間は精神的なショックと傷の痛みで声も出せず、世話をしてくれている家族とも、お見舞いに来てくれた友人ともひと言も話せない状態でした。

友人たちは事故で骨折したと思って面会に来てくれるのですが、切断された脚を見て泣いてしまう友人もいて、そばにいてくれた母の顔からも笑顔が消え、そんな姿を見ているうちに自分がみんなの元気や笑顔を奪っていると心が苦しくなり、どうすればいいんだろうと考えました。

まず、くよくよ落ち込んでいるのをやめました。そして、義足をつければ歩けるようにもなるし、スポーツもできると考え、何かにチャレンジする姿を見せて家族や友人たちの笑顔を取り戻したいと思うようになりました。

歩くのがこんなに難しい

1ヶ月半が経って義足が完成し、「さぁリハビリだ」と最初は喜びましたが、想定以上にリハビリはつらく、歩くのがこんなに難しいと思ったことはありませんでした。一歩一歩が小さく、階段もうまく昇り降りができず、あきらめそうになることも。医師には歩くまで半年、走れるようになるまで1年と言われましたが、そばに付き添ってくれる友人たちに励まされながら、痛みをこらえてリハビリを続け、元々、体力には自信があったこともあり、2週間で歩けるようになり、春休み明けには大学に戻りました。

走っただけで笑顔になった

あの時、死んでいたら何も挑戦せずに終わっていたかもしれない。人生は一瞬。事故に遭って価値観が大きく変わり、やりたいと思ったことにチャレンジする意識が高まりました。そのため昔から夢だった「レーサーになる」という夢を実現するため、カートレースにチャレンジし、入門クラスでシリーズチャンピオンになるなど、努力と工夫で少しずつ成績が残せるようになった頃、陸上に出会いました。

義足の人たちが走るチームを訪ねたとき、ジョギング用の義足を借りて走ったら、これまで感じたことの無いくらい風が気持ちよくて、走っただけで笑顔になって。
もし、パラリンピックに出場して金メダルを取ったら、これまで励ましてくれた家族や友人がもっと喜んでくれるかなと陸上競技にチャレンジすることを決意しました。

アジアパラ大会で優勝

カートレースをきっかけに陸上競技を支援してくださる方たちに出会い、パラリンピックに出場すること、カーレーサーになること、2つの目標への想いを企画書にまとめて伝えると、陸上競技に取組むためのサポートをしてもらえることになりました。
それから競技用の義足を作り、本格的に練習をはじめ、2018年1月からはトップアスリートを指導するトレーナーのもとでトレーニングを重ね、2018年5月、初めて出場した北京での大会で優勝。その後2018年10月のアジアパラ大会でアジア記録を打ち立てて優勝できました。

さらなる記録の更新に向けて取り組んだのは「左右の筋力差を減らすこと」。右足が義足のため、普段の生活では左足が軸になって、どうしても右ももの筋肉量が低下してしまう。義足をしっかりとコントロールするためには右ももの筋力を鍛えることが重要で、オフ期間中には基礎体力の向上と長所の強化のため、過酷なトレーニングに取り組みました。

その後の結果では2019年5月、静岡の国際大会男子T64クラスの100mで11秒55のベストタイムを出し、自らのアジア記録を更新。東京大会2020に向けてラストスパートは始まっています。

東海学園大学の理念である「共生(ともいき)」は、事故に遭ってから特に身にしみて思いますが、社会に出て支援してくれる人に出会い、陸上の大会に出てパラアスリートたちと出会い、「共に生きる」というこの言葉が持つ意味を実感するようになっています。

義足があれば誰でもすぐに歩けたり、走れるというわけではありません。何十年も歩くことすらできないと苦しんでいる人もます。
現役引退後は、パラアスリートの先輩たちや装具メーカー、装具士さんなどと協力して、足の不自由な子どもたちに義足を提供しながら、アジアへ、世界へ、義足の可能性を広めていき、誰もがスポーツを楽しめるようなサポートをしていきたいです。そして、スポーツの力でみんなを笑顔にしたいと将来の夢は、どんどんふくらんでいます。

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