健康に関する情報を正しく理解し、わかりやすく伝えることを目的として、学生がさまざまな健康課題について調査・発信しています。本記事は、本学保健室の監修のもと作成しました。今回は、疲労やストレス、免疫力の低下などをきっかけに再発することがあり、日常生活とも深く関わる「ヘルペスウイルス感染症」について、その特徴や感染予防の重要性を紹介します。
ヘルペスウイルス感染症とは、生体内での潜伏感染を特徴とするヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症です。人に感染するヘルペスウイルスはヒトヘルペスウイルス(HHV)とよばれ、感染して治癒した後も体内に潜伏し、宿主の免疫低下により再活性化するという特徴があります。HHVは9種類あり、そのうち、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)は、水痘(みずぼうそう)と帯状疱疹の原因となるウイルスです1)。
水痘は、軽度の発熱と発疹で発症します。発疹は通常250個~500個で、体幹に多く、顔面、四肢に少ないこと、また、丘疹、水痘、痂皮の順序で治癒していきますが、同一部位に各過程の発疹が混在することが特徴です。通常は、1週間くらいで自然に治癒する疾患です2)。主に小児の病気で、9歳以下での発症が90%以上を占めるといわれています。小児における合併症は、皮膚の二次性細菌感染、脱水、肺炎などがあります。成人に水痘が発症した場合、水痘そのもの重症化するリスクが高いといわれています3)。
予防として、現在国内では、乾燥弱毒性水痘ワクチンが用いられています。1回の接種で感染を80~85%減らすことができ、重症化をほぼ100%防ぐことができると言われています。2回接種を行うことで一人一人の予防効果を高めるだけでなく、長期間の集団での流行を予防することができます4)。
帯状疱疹は、体内の水痘帯状疱疹ウイルスが活動を再開することで発症します。帯状疱疹は、免疫力が低下したときに発症しやすいとされ、発症には加齢が関係しており、日本人では、50代から発症率が高くなります。80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になるといわれています。帯状疱疹になった全体のうち、約7割が50歳以上ですが、残りの3割には20代~30代も含まれており、若い人でも発症する可能性があります5)。
帯状疱疹の定期接種の対象者は、65歳以上の方と、60歳~64歳で心臓、腎臓、呼吸器の機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害がある方です6)。ワクチンには、生ワクチンと組換えワクチンの2種類があり、いずれか1種類を接種します。生ワクチンは皮下に1回接種し、組換えワクチンは2ヶ月以上の間隔をあけて2回筋肉内に接種します。病気や治療により医師が早期の接種が必要と判断した場合、間隔を1ヶ月まで短縮することができます。ワクチンの効果は接種後1年時点で生ワクチンは6割程度、組換えワクチンは9割以上の予防効果があります。組換えワクチンは接種後10年経っても7割程度の予防効果があります7)。
参考文献
1)森内浩幸. ヘルペスウイルス感染症. 病気がみえる vol.15 小児科.第1版.東京:メディックメディア. 2022:507‐511
2)尾崎隆男. 水痘・帯状疱疹. 小児内科. 2020. 52. 992-998
3)水痘. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/chickenpox.html. (参照:2026.7.17)
4) 水ぼうそう(水痘)ワクチン. こどもとおとなのワクチンサイト. https://www.vaccine4all.jp/news-detail.php?npage=2&nid=126. (参照:2026.7.17)
5) 帯状疱疹とは?. BIKEN. https://taijouhoushin.jp. (参照:2026.7.17)
6)体力、免疫力の低下でかかりやすいVPD. KNOW-VPD!オトナも!. https://otona.know-vpd.jp/senior.html. (参照:2026.7.21)
7) 帯状疱疹ワクチン. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/shingles/index.html. (参照:2026.7.20)
文責
S124146 谷澤 奈緒(スポーツ健康科学部 中村ゼミ)
東海学園大学 保健室


