健康に関する情報を正しく理解し、わかりやすく伝えることを目的として、学生がさまざまな健康課題について調査・発信しています。本記事は、本学保健室の監修のもと作成しました。今回は、小児や若い世代にも比較的多くみられ、発熱や倦怠感、長引く咳などの症状を引き起こす「マイコプラズマ肺炎」について、その特徴や感染経路、学校生活における対応、日頃からできる感染予防について紹介します。
「肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)」は市中肺炎の代表的な起炎菌ですが、細胞壁をもたず、細胞膜成分が宿主免疫応答に関与します1)。マイコプラズマ肺炎は、このMycoplasma pneumoniaeに感染することによって起こる呼吸器感染症です。小児や若い人の肺炎の原因として、比較的多いものの一つです。マイコプラズマ肺炎は1年を通じてみられ、秋冬に増加する傾向があります2)。潜伏期間は1〜4週間、感染経路は飛沫感染です3)。
症状は、発熱、倦怠感、頭痛に続いて咳が現れ、喘鳴、皮疹、消化器症状、胸痛なども認められます。肺炎としては軽症なことが多いですが、様々な合併症を起こすことがあります4)。合併症には、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などがあります5)。
マイコプラズマ感染症の特徴は、かつては、4年に1回の周期で流行し、「オリンピック病」と呼ばれていました。しかし2000年以降この傾向がなくなりました。その後、2012年に大流行し、再び4年周期が始まりました。本来のオリンピックの年の2020年に流行すると思われていましたが、コロナ禍で皆が感染対策を徹底したことによって流行はみられませんでした6)。直近では、2024年第23週頃からマイコプラズマ感染症が急増し、一般社団法人日本呼吸器学会などがその対策についてステートメント・報告書を発表しました7)。
マイコプラズマ感染症は、感染症法では五類感染症の定点把握対象疾患に、学校保健安全法では、条件によっては第三種感染症の「その他の感染症」に定められています4)。マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法施行規則では学校において予防すべき感染症として明示されていませんが、必要があるときに限り、緊急的に措置がとられます。第三種感染症の出席停止期間の基準は、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまでとされており、学校医等の意見を踏まえ、個別に判断されます8)。
ワクチンはありませんので、手洗いやマスクの着用など、日頃からの基本的な感染対策を行います。
参考文献
1)黒沼幸治. 肺炎マイコプラズマ感染症と免疫・アレルギー反応. 日本内科学雑誌. 2022. 111. 2121-2126.
2)マイコプラズマ肺炎. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mycoplasma.html. (参照:2026.9.7)
3)肺炎マイコプラズマ感染症. 日本小児科学会. https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-19.html. (参照: 2026.9.7)
4)マイコプラズマ肺炎. 感染症情報提供サイト. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/mycoplasma-pneumoniae-infection/index.html.(参照:2026.9.7)
5)マイコプラズマ肺炎. 感染症情報提供サイト. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/mycoplasma-pneumoniae-infection/detail/index.html. (参照:2026.9.7)
6)マイコプラズマ肺炎の症状. FNNプライムオンライン. https://www.fnn.jp/articles/-/434833. (参照:2026.9.7)
7)高橋和久, 長谷川直樹, 高橋聡, 他. マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)急増にあたり、その対策について. https://www.jrs.or.jp/activities/guidelines/file/mycoplasma_pneumoniae_statement_20241119.pdf. (参照:2026.9.7)
8)マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)急増にあたり、その対策について. 日本呼吸器学会. https://www.jrs.or.jp/activities/guidelines/statement/20241022134500.html. (参照:2026.9.7)


