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心理学部

チュニジア国旗の心理学

 国旗の心理学シリーズ第8弾は、北アフリカのイスラム国家、チュニジアです。じつはこの連載は、2014年のFIFAワールドカップ・ブラジル大会が終わった後、優勝したドイツの国旗の解説からスタートしました。あれから12年、見違えるように強くなった日本代表がグループリーグで相見えるチュニジアを取り上げるのは、とてもお洒落ですね(自画自賛!)。
 チュニジア国旗はシンプルな赤/白の2色で、大胆に使われた鮮やかな赤が目を引きます。中心部の三日月と星はイスラム教の象徴で、トルコ、アルジェリアなど、他のイスラム国の国旗にも使われています。とくに、トルコ国旗とはデザインがよく似ているのですが、大きな違いは、三日月と星が赤で描かれるか(チュニジア)、白で描かれるか(トルコ)です。この違いによって全体の印象はかなり変わりますので、ぜひ、トルコ国旗と見比べてみてください。
 さて、今回こだわりたいのは、これまでのような知覚心理学・色彩心理学的な観点ではなく、三日月のデザインについてです。皆さん、この国旗に描かれたようなC字型の三日月は馴染み深く、違和感もないかと思いますが、実際の三日月はC字型にはなりません。太陽の光に照らされる月の端(チュニジア国旗でいえば左端)だけが明るく見えるのですから、三日月の2本の“角”は、最大180°までしか伸びません(この国旗だと290°くらいまで伸びています)。ちなみに、チュニジア国旗は2011年にデザインがマイナーチェンジされていますが、それまでの三日月はもう少し角が短く、240°くらいです。正確に言うと、旧デザインでは赤い円に対して90%の大きさの白い円をずらして重ねることで三日月を作っていましたが、現行国旗では重ねる白円の大きさを80%まで小さくしています。その結果、角が伸びたわけです。
 昔から、三日月は顔に擬人化されたデザインがよく見られましたが、だいたい角(頭とあご)は現実より長いです。その方が親しみを感じやすいからかもしれません。ただし、国旗に描かれる三日月の角が長い理由は、他にあるのかもしれません。最後に小ネタですが、別のイスラム国家、モーリタニア国旗の三日月は現実的で、角はほぼ180°です。ただ、こちらのデザインの方がむしろ違和感を覚えてしまうのが、“心理的”三日月の奥深いところです。

高橋晋也(知覚心理学・色彩心理学)

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