健康に関する情報を正しく理解し、わかりやすく伝えることを目的として、学生がさまざまな健康課題について調査・発信しています。本記事は、本学保健室の監修のもと作成しました。今回は、近年再び注目されている「風しん」について、その特徴や感染予防の重要性を紹介します。
風しんは、風しんウイルスの飛沫感染により生じる急性の発疹性感染症です1)。14~21日の潜伏期の後、微熱、軽度の結膜炎、発疹のほか、耳介後部、後頸部、後頭部などのリンパ節腫脹などの症状が現れます。発疹出現前後はウイルス排出量が多くなるため、感染力が最も強くなります。発疹は斑状紅斑という淡いピンク色の発疹が顔面〜頸部に出現し、全身へ広がります2)。通常、発熱と発疹は3日ほどで消失するため、「3日はしか」ともよばれます。
風しんは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」3)において五類感染症に指定されており、診断した医師は保健所に直ちに届け出の義務があります。また、「学校保健安全法施行規則」4)において第2種学校感染症に指定されており、発疹が消失しないと登校できません。
主な合併症として関節炎があり、全体の5~30%に認められ成人女性に多く見られます。免疫性血小板減少症は約0.03%に、急性脳炎は約0.02%に認められ、学童に見られます。予後は良好で、治療は対症療法が主ですが、なかには脳炎を発症し、死亡した例も報告されています1)。
免疫のない女性が妊娠初期に風しんに罹患すると、風しんウイルスが胎児に感染して、出生児に先天性風疹症候群と総称される障がいを引き起こすことがあります5)。先天異常の発生は妊娠週齢と相関し、妊娠12週までの妊娠初期の初感染に最も多くみられます。3大症状として白内障、先天性心疾患、難聴が挙げられます6)。このうち、先天性心疾患と白内障は妊娠初期3ヶ月以内の母親の感染で発症しますが、難聴は初期3ヶ月のみならず、次の3ヶ月の感染でも出現します。そのうえ、高度難聴であることが多いと言われています5)。
予防にはMR(麻しん風しん混合)ワクチンを接種します。MRワクチンを接種することで、95%程度の人が風しんウイルスに対する免疫を獲得することができるといわれています。また、2回接種によって、体に免疫の備えができていると、ウイルスを早期に抑え込むことで、発症を防いだり、症状が軽く、発熱等の症状の強さ、重い合併症のリスクを下げたり、重症化予防することが知られています。さらに、周囲の方へ感染を広げるリスクも下げることができます7)。2019年度は、名古屋市で27人、全国で2,298人の感染が報告されていましたが8)、その後は減少し2026年第26週の時点で、全国で2人のみとなっています9)。
参考文献
1) 森内浩幸. 風疹. 病気がみえる vol.15 小児科.第1版.東京:メディックメディア. 2022:504‐505
2)竹田誠, 加藤大志. 麻疹ウイルス, 風疹ウイルス, ムンプスウイルス. 小児内科. 2023. 55. 641-644
3)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律. E-GOV法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000114/. (参照:2026.7.10)
4)学校保健安全法施行規則. E-GOV法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000080018. (参照:2026.7.10)
5)先天性風疹症候群. 感染症情報提供サイト. https://id-info.jihs.go.jp/relevant-information/rubella/20130508/crs-intro.html. (参照:2026.7.10)
6) 先天性風疹しん症候群. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-10.html. (参照:2026.7.10)
7) MRワクチン. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/mr/index.html. (参照:2026.7.10)
8)市内における風疹の発生状況. 名古屋市. https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/kenkoinfo/1009500/1009556/1009558.html. (参照:2026.7.10)
9) 風疹累積報告数の推移. 風疹発生動向調査. 感染症情報提供サイト. https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/diseases/rubella/graph/2026/rube26-26.pdf. (参照:2026.7.10)
文責
S124146 谷澤 奈緒(スポーツ健康科学部 中村ゼミ)
東海学園大学 保健室


