学部からの最新情報
心理学部
2024.08.23

学外見学会でエッシャー展を鑑賞してきました


 恒例の心理学部学外見学会で、豊田市美術館にて開催中の『エッシャー 不思議のヒミツ』展を鑑賞してきました。学外見学会は、さまざまな施設や展示を心理学的な視点で見学することを目的に、毎年春学期の終わりに開催されている学部行事です。本年度は、初めての定期試験を終えてホッとした1年生を中心に、卒論中間発表会を乗り切って一息ついた4年生も含めて総勢74名が参加しました。

 19世紀末にオランダに生まれた芸術家M.C.エッシャーは、不可能図形を絵画の構図に埋め込んだ『滝』等の不思議な作品を数多く残しています。鑑賞に先立ち、美術館の講堂をお借りしての事前レクチャーが行われました。高橋学部長からは、「図と地」「見かけの奥行き」「心的構え」といった視覚心理学的キーワードを用いて、エッシャー作品の鑑賞の仕方についての解説がなされました。続いて、豊田市美術館チーフキュレーターの北谷氏から、制作年代ごとの作品の特徴や、作家に影響を及ぼした事物とその背景等について解説をいただきました。いずれもたいへん濃い内容で、学生たちは興味深く聴き入っていました。

 レクチャーの後はいよいよ実作品の鑑賞です。創作初期のものから最晩年作まで、合わせて159作品がテーマごとに展示され、順に回るだけでもかなりのボリュームがあります。レクチャーで解説された作品を間近に見てその原理を再確認したり、有名作品をリアルで見て感動したりその意外な小ささに驚いたりと、自由に鑑賞を楽しみました。また、エッシャー作品の不思議な感覚を体感できる3Dの体験コーナーなども設けられていて、2時間の自由見学時間はあっという間に過ぎていきました。

 猛暑の午後、涼やかな近代建築の中で不思議な異空間の感覚に浸り、心理学的な思索に耽る贅沢な時間を過ごすことができました。見学会後に提出された小レポートの内容からも、学生たちがそれぞれに感銘を受け、自分なりに作品に対する考察を深めたことがうかがえます。貴重な芸術作品を観て語らいながら、心理学部の先輩・後輩が交流を深める、たいへん有意義な見学会になりました。
 

(心理学部 本間洋充)