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心理学部
2017.06.19
人文学部心理学科リレーエッセイ(心理学にフィールドワークはありうるのか)
私は、心理学に一番近いところで社会学を学んできた。社会学が人々の「意志」の分類から始める学問であるだけに、一方で政治学、他方で心理学、そしてベースに経済学という学際性を宿命とした学びを無意識に重ねてきた。そのせいか、いま心理学に拠点を置こうとすると、もとの社会学の広がりすぎた視点がやけに胡散臭く感じられることがある。「鳥の目」と「虫の目」の関係のようなものを感じてしまう。今、ネット空間が広がり、知らない世界を縦横無尽に行きかうこ
とができるような錯覚が日常化している。体験学習や直接体験をもとにした「リアルな感覚」は、一見狭く瞬間的なものである。しかし、それがいつまでも余韻を残して記憶され、その人の人間形成に深く関わっていくならば、納得のいく自己形成(「自己受容」)が始まり、上記のサイクルも順繰りに動き始める。私は、心理学を学ぶという行為には、この種の自分自身の人間形成に関する思い入れのようなものが含まれると考えている。来週は、学習障害という発達障害という荷物を背負って罪を犯してしまった少年たちのための施設、少年院を訪ねる。障害を個性と呼ぼうという時代から「個性を発達障害というレッテルを貼って排除・隔離する」時代に変わってきて、できる人・ところから、障害の理解とそれを促す街づくりをはじめなければならなくなってきている。格好いい人、できる人ばかりを追いかけ、自己卑下に陥っている時間があれば、格好悪い人、できない人が何に苦しんでいるか、ともに考える精神的余裕を育んでみたらどうだろう。他人を思いやる気力にあふれる心理学徒を育成したい。
宮本益治
