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バングラデシュ国旗の心理学

2018年05月30日心理学科

 心理学部のリレーエッセイ(全教員による輪番寄稿)で私がテーマにしてきた「国旗の心理学」シリーズも、これで3回目になりました。これまで、ドイツ国旗で「色彩の重さ印象」、イギリス国旗で「図と地の分化」についてお話ししてきましたが、今回取り上げるのは下の国旗。ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、インドの東隣国バングラデシュです。
 このデザイン、形的にも面白いですね。日本の国旗とよく似ていますが、日の丸と違って赤丸が真ん中ではなく、左側(竿の方)に寄っています。これは、旗がはためいたときに右側(竿から遠い方)が風にあおられて、結果的に赤丸が真ん中に見えるという計算だそうです。…う~ん、奥が深い。ちなみに、この国旗は、実際に日の丸を参考にデザインされたそうですよ。
 つぎに色を見ましょう。赤丸は、日の丸と同じく「太陽」ですが、背景の緑は「大地」だそうです。緑色はイスラムの宗教色でもありますが(たとえばサウジアラビアの国旗を思い出してください)、バングラデシュ国旗の緑色は、イスラムの緑より濃くなっています。旗の原型が作られたバングラデシュ独立戦争(1971年)の際、対立していた西パキスタンのイスラム主義と差別化するために、あえて濃いめの緑にしたのだそうです。形と同じく、色使いにも深い意味が込められているのですね。
 ところで、この国旗を見ると、何か目がチカチカする印象を受けませんか? とくに赤と緑の境目が不安定にちらつくように見えます。これはリープマン効果(Liebmann’s effect)といって、接する二つの色の明るさの差がなくなると、両者の輪郭が不明瞭になり、図と地の知覚が不安定になる現象です。逆に言えば、図と地をはっきり分けて見せる(専門用語で、「明視性」を高めるといいます)ためには、色の違いだけでは不十分で、明るさの違いが欠かせないということです。まさか、これもデザイナーの狙いだったのでしょうか!?
髙橋晋也(色彩心理学)