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ギャンブルにおける心理―利得と損失の非対称性

2018年11月14日心理学部

「これから1枚のコインを投げ、表が出ればあなたに1万円を差し上げますが、裏が出たら1万円を支払ってもらいます。あなたはこの勝負(ギャンブル)を受けますか?」
 
おそらく、多くの人はこの質問に対して「いいえ」と答えたのではないかと思います。この質問は、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが研究で使用したものを参考にしたものですが、ギャンブルをする人の心理を説明するのに非常に適していると考えられます。
 
なぜ、私たちはこの勝負(ギャンブル)を断ったのでしょうか。この現象を理解するためには、人がもっている「利得と損失の非対称性」という性質を考える必要があります。ダニエル・カーネマンによれば、人は同じ額の利得よりも、同じ額の損失の方に大きな価値を感じる傾向があるといいます。すなわち、「1万円をもらったときのうれしさ」と「1万円を失ったときの悲しさ」は等しくなく、「1万円を失うこと」の方がより深刻であると考えたために、この勝負(ギャンブル)を断ったのだろうと推測できます。
 
このことは、現実でギャンブルをする人にも当てはまると考えられます。例えば、競馬やパチンコで損をした人が、負けた分を取り返そうとしてさらに続けるという場面は、容易に想像することができます。この人たちは、「自分が損をしている」という状況がたまらなく嫌で、その状況をどうにかしようと、(非合理的であるにも関わらず)ギャンブルを続けてしまっているのでしょう。
 
利得と損失の非対称性。ギャンブルにはまりすぎないためにも、心得ておくべきことの一つのように思います。
 
参考文献:ダニエル・カーネマン (2011). ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る 楽工社
 
執筆者:高田 琢弘 (社会心理学・感情心理学)